Paphiopedilum insigne/パフィオ・インシグネ
1.
写真の園芸変種‘Sanderae’サンデレーを手に入れて25年にもなる、長い付き合いである。
今も、雪を被ったかのようなドーサル・セパル、砂糖菓子を思わせる、花の中心部の仮雄蕊(スタミノード)の質感に魅せられたままだ。
昭和の高度成長期までの園芸本には、初心者がまず手がけるべき洋ランとしてよく名前が挙がっていた。
その園芸的価値、日本の気候への適応性、サイズの扱いやすさ、花つき・花もちの良さ・・・数々の美点にもかかわらず、今日に至るまで、ついに一般的なポピュラリティを獲得することができずにいるのが残念だ。
鉢中が凍るとダメだが、0度近い夜温に耐え抜き、他のパフィオの開花が止まってしまう低温条件でもめげずに開いてくれる。
左が一般的なタイプ、右のサンデレーは、色素が抜けて細点のみを残したもの。
一般タイプの花つきはサンデレーに劣るが、2つ揃えてみれば、どちらが欠けてもさびしく感じられるようになる。